「ゼルダの伝説 ブレス・オブ・ザ・ワイルド」が更新され、とうとう Nintendo Labo の VR キットに対応になりました。そのために VR キットを前もって購入し首を長くして待っていたので、さっそく試してみました。
感想
まず第一印象ですが、想像していたほどは酷くはないです。むしろ Switch のハードウェア性能を考えると大健闘しているなというのが実感です。
通常画面
VR 画面
というのも、現時点で VRヘッドセット最高スペックの HTC Vive Pro (2880×1600) ですら FullHD の解像度感にはかなわないと思っているので、Switch のディスプレイ解像度 1280×720 を左右分割して、さらにレンズで歪むのを補正して描画することを考えると、おそらく Nintedo 3DS 並みに見えてしまうのだろう(失礼)と思っていたからです。
ところが、意外にも、きちんと「ゼルダ」の世界が見えますし、それなりにプレイできました。
画質に関しては後でもう少し詳しく考察しますが、その他の感想について簡単に。
- ダンボールでできた VR ゴーグルなので、もちろんゴーグルの装着感はよくはない(長時間触れていると顔が痛い)
- 視点は1人称ではなく、斜め後ろから見た3人称になっている
- Vive などと違って 90 FPS で滑らかに動くわけでもない(せいぜい 30 FPS?)
- なので VR 酔いも激しい
- 実質解像度が落ちる分、文字などが読みづらい
というわけで、普通の人が VR モードで全クリを目指してプレイし続けるのは現実的ではなさそうです。
ただ、寝っ転がった状態で顔に VR ゴーグルを載せて、ジャイロをオフにして、プロコンで操作するというスタイルであれば、身体的には楽である程度長時間のプレイが可能です。(ただし現実に戻った時に激しく酔っている可能性があるので注意)
VRモードでの視野は?
さて、画質に話を戻して、描画されている範囲を比較してみましょう。
まず左右方向を見てみると、描画されている範囲は通常画面とほぼ同じであることがわかります。
一方、上下方向を比較してみると、VRモードだと地面と空でより広い領域で描画されていることが分かります。(通常では上図の赤く枠部分は描画されていない)
そのため、中央部分の描画のために使われている実質ピクセル数は、だいぶ少なく(粗く)なってしまっています。
オブジェクトのピクセル数・クオリティを比較
同じ場面の描画で、通常モード (1920×1080) と VR モード (1280×720 を左右分割) でどれぐらいの差が出るのか比較してみました。
注:ここでは簡略化のため、通常モードを FullHD=1920×1080 として計算しています。実際は、Nintendo Switch 版のゼルダは 900p で描画してアップコンバートして FullHD にしているそうなので、クッキリ感は FullHD より落ちるはずですが、あくまで FullHD (1920×1080) 相当の画面で見た時に何ピクセルで描画されているかで比較しました。
まず、いろいろなオブジェクトが描画されているピクセルエリアを数えてみたところ、縦横それぞれ 2.4 倍以上の差があることが分かりました(トータルピクセル数では6倍程度の差)。
通常 | VRモード | |
---|---|---|
リンク | 193×367 | 80×150 |
盾 | 128×157 | 52×65 |
遠くに見える祠 | 20×22 | 9×9 |
盾の部分にフォーカスしてみると、VR モードでは 50~60 ピクセル程度で描画されていること分かります。64 ピクセルのオブジェクトと言ったら、スーパーファミコン時代に戻ったような感じです。
また、この場面では遠くに祠が見えます。幸い青いのでなんとなく祠だと認識できますが、ピクセルは 9×9 程度と限りなく小さくなってしまっています。
また、正面の足場にボコブリンが3体ほどいるのですが、VR モードのこの静止画からは認識するのは困難です。ただ、実際にプレイしていれば、ボコブリンたちも動いているのでそれなりに認識できます。
ピクセル解像度が落ちてしまうせいで、他にも、落ちているアイテムなどを認識・区別するのが難しいなと感じました。
結論
とはいえ、Switch 本体性能とダンボールでできた VRキットの値段を考えたら、やはり想像以上に大健闘していると思います。(トータルで30万円以上もするPC用の高性能グラボとVRヘッドセットの組み合わせにかなうはずはないのです)
またこれを見ると、いかに HTC Vive Pro が解像度 2880×1600 で高性能だとは言っても、実は Switch パネルの縦横 2.2 倍程度でしかないので、まだまだ FullHD の解像度感にはかなわない水準であることが納得できました。
今年は新しい VR ヘッドセットがいろいろ発売されるようなので、さらに上のレベルが実現できることを期待して待っています。