発売日 (1/28) に HP 公式サイトから注文したにも関わらず、全く音沙汰が無くすっかり存在を忘れていた HP Reverb G2 が、2ヶ月以上たった 4月10日にとうとう届きました。
HP Reverb G2 とは
元々 Windows Mixed Reality 対応機種の HP Reverb というVRヘッドセットが出ていたのですが、HP Reverb G2 はそれを改良した2世代目になります。
日本では 2021年1月28日に発売されました。
自分が持っている他の機種とスペックを比べると以下のようになります。
Oculus Quest 2 | HTC Vive Pro | HP Reverb G2 | |
---|---|---|---|
ディスプレイ | LCDパネル | OLEDパネル | LCDパネル |
解像度(片目) | 1832×1920 | 1440×1600 | 2160×2160 |
リフレッシュ レート |
72Hz | 90Hz | 90Hz |
視野角 | 不明 (100度?) | 110度 | 114度 |
IPD 調整機能 | なし | 調整可能 | 調整可能 |
重量 | 503g | 765g | 500g |
トラッキング | 6DoF | 6DoF | 6DoF |
接続が必要となる機器 | なし | PCにケーブル接続 ベースステーション設置 |
PCにケーブル接続 |
値段 | 37,100円~ | 143,640円 | 65,780円 |
特徴としては、
- 画面の解像度が片目あたり 2160×2160 ピクセルと、競合機種に比べても一段と高い
- ハードウェア的に IPD (瞳孔間距離) を調整できる
- ベースステーションなどの外部機器を必要としないため、セットアップが比較的簡単で、価格も HTC Vive Pro, Vive Index などに比べればそれほど高くない
いう点などが上げられます。
開封の儀
箱を開けると、ただヘッドセットがセットされている、シンプルな配置です。
上の段を取り、ヘッドセット・コントローラを包んでいる袋を開封すると、こんな感じです。
コントローラーは、方向スティック、トリガー、サイド(掴む)ボタンに加え、Aボタン、Bボタン、Xボタン、Yボタン、メニューボタン、Windowsボタンが付いており、Vive のコントローラーよりもボタン数は多いです。
ヘッドセットは、クッション性のある柔らかい素材が前面にも後面にもあるので、Oculus Quest 2 などと比べても顔に跡が付きづらく快適に使える感じです。
PC への接続は簡単だが、ソフトウェアのセットアップに苦戦・・・
PC へのケーブル接続は、やはり外部にベースステーションなどの機器を必要とする Vive などと比べると、かなりシンプルです。
ケーブルの片方をヘッドセットに接続し、もう片方が DisplayPort と USB に分かれているので PC に接続するだけです。
そして自動的に Windows Mixed Reality が起動し、簡単にセットアップが終わるはずだったのですが・・・。
なぜか
「Windows Mixed Reality へようこそ」
「ヘッドセットを接続します」
と表示され、そこから全く先に進みません、、、
ヘッドセットのケーブルはかなり奥まで差し込む必要あり
結論から言うと、ヘッドセットへのケーブルは、かなり奥まで差し込む必要がありました。
この画像のように、ケーブル端子にあるポッチが半分隠れるぐらいまで押し込まないといけません。
正しく差し込むと、やっと次に進めました
さらに続くトラブル・・・
しかし喜んだのもつかの間、今度はエラーコード 7-14 と表示され、またセットアップが止まってしまいました。
その場合、USB ケーブルを違う端子につなぎ直したら消えました。
その後も、Windows Mixed Reality のセットアップは最後まで行ったのですが、ヘッドセットを装着しても何も画面に表示されません!
DisplayPortケーブルを抜き差ししたり、Windows を再起動しているうちに、やっと表示されました。
が・・・、なんか立っても座っても自分の目線の高さがどうも変なのです。
Windows Mixed Reality でも床からの高さを設定できるのですが、Oculus Quest などに比べると、設定方法がスマートではない気がしました。
とりあえず、床にコントローラーを置いて、コントローラーが浮かない・地面にめり込まない位置まで地道に補正しましょう。
セットアップ後の感想
Windows Mixed Reality は、ハードウェアのケーブル接続などは簡単で 10分程度で終わったのですが、ソフトウェアでのセットアップの途中でなかなかスムーズに進まず、(初期不良かとドキドキしながら)結局満足に動くまでに、いろいろ調べながら2時間ぐらいかかってしまいました。
何もトラブルが無ければ、早く・簡単にセットアップできるはずなのだと思いますが、もうちょっとソフトウェアを洗練させられないのかなぁと思いました。
使用してみた感想
まず、ヘッドセットの装着感は、自分としては大分良い方だと思いました。クッション性があり、そもそもヘッドセットの重さも軽いため、1時間程度付けていても不快感も無く顔に跡が付きませんでした。(Oculus Quest 2 は長時間やった後だと顔が痛く、VR をやっていた跡がクッキリと残ってしまう)
ただ、ヘッドセットから PC に接続されているケーブルの固さ・しなやかさは HTC Vive Pro に比べてちょっと劣る(気になる)かなと思いました。
とはいえ、Oculus Quest 2 + Virtual Desktop で完全ワイヤレスにするのに比べれば
ケーブルがあること自体がそもそも劣っているので、ケーブルの質は誤差の範囲かなと思います。
視野角は、公式スペックでは 114 度となっているのですが、ヘッドセットを装着した瞬間は微妙に狭い感じがしました。とはいえ、装着したときに比較すると気づいた程度で、没入して使っていれば全く気になりませんでした。
PC VR の画質のクオリティーは・・・?
さてさて、一番重要な点、PC VR の画質のクオリティーですが・・・
最高です!!
スクリーンドア現象(ピクセル間の隙間が見え、編み目のように見えてしまう現象)も全く気にならず、解像度が高い分、文字のキレ、映像の美しさは素晴らしいです。
例えば、
- Half Life Alyx は、HTC Vive Pro でも Oculus Quest 2 でも元々キレイな画質だったのですが、HP Reverb G2 では遠景までより鮮明に見え、そこに実際にいる感(没入感)がさらに上がりました。
- Skyrim VR, Fallout VR でも、遠景や建物の構造など、今まで VR では見過ごしてしまっていた詳細が目・脳に飛び込んでくる(認識されてしまう)のに驚きました。
例えば、スカイリムVR のタイトル画面で、背景の壁がこんな立体構造になっていたとは、今まで気づきませんでした。(スクリーンショットだと解像度・鮮明度が落ちていて分かりづらいかもしれませんが、HP Reverb G2 内ではクッキリ立体的に飛び込んできました)
- DMM VR 動画 (FANZA) でも、スクリーンドア現象が無いため高画質のデータであれば肌の質感もよりリアルに見え、見慣れた映像でも新鮮に感じられました。
全体的に、PC VR の映像のクオリティーの次元がワンランク上がった気がします。
ただし注意点も
上記のレビューは、SteamVR で画質設定 100%、3160×3092 での解像度で描画した場合の感想です。
これは両目で 6320×3092 と 4K を遙かに超える超絶高解像度となるので、グラボのスペックが相当高くないと厳しいです。
幸い、当方の環境では最近 RTX3080 から RTX3090 にアップグレードしていたので、上記の設定でも基本的に 90 FPS でプレイすることができましたが、グラボのメモリの使用量には注意が必要そうです。具体的には、ゲームプレイ中に
- Half Life Alyx で 14 GB 超
- Skyrim VR で 10 GB 超
グラボのメモリを使用していたようです。
もしかしたら、ただデータのキャッシュに使っていただけで最低限必要なメモリはもっと小さいのかもしれませんが、RTX3080 だとメモリが10GBしかないので、場合によっては SteamVR のグラフィックスの解像度設定を少し下げる必要があるかもしれません。
コントローラーのトラッキングの精度
Half Life Alyx をプレイした限り、コントローラーのトラッキングの精度はそれほど問題ないように感じました。
とはいえ、外部のベースステーションからトラッキングする HTC Vive 系などと比べると、トラッキングできない範囲は存在するため、激しくコントローラーを動かすような用途にはあまり向いていないかもかもしれません。(実際1度トラッキングがおかしくなるのを経験しました)
コントローラーの割り当てにも注意
また、Windows Mixed Reality 以外のコンテンツを使う場合、コントローラーのボタン割り当てが意味不明なことがあるのも注意が必要です。
例えば DMM VR 動画プレイヤーではコントローラがうまく動きませんでした。
SteamVR のアプリでも、ゲーム中のチュートリアルでは Vive などのコントローラーを想定した説明が出てきて、どのボタンに対応しているのか意味不明なことも多々ありました。
ただし、SteamVR はメニューからコントローラーのバインディングを変えることができるので、一手間かける手間を惜しまなければ問題はなさそうです。
結論
PC のスペックが高くて、できるだけ最高の画質で PC VR を楽しみたい、特に映像や風景をまったりと楽しむような用途では、HP Reverb G2 はかなりお勧めだと思います。